Strangers on a Train

3日に舞台を観てきました。生で演技するにのみやさんを観たらもう二度と悪態つけなくなるんじゃないかと心底恐れていましたが、そんな心配はご無用でした。だってあれ別人だったし。にのみやじゃなくてチャーリーだったし(しんけん)。内容ガッツリ触れますしまとまりないです。また自分の備忘録のため大いに追記修正するとおもわれます。
以下たたみます。











愛憎と狂気に満ちたブルーノ演じるにのみやさん、哀しくも麗しかったです。


今回わたくしお一人様で幕が上がるまでの緊張が半端なかった。緊張すると吐きそうになる癖をどうにかしたい。一人開演をじっとこらえていたら5分前を知らせるチャイムが鳴ったんだけど、そしたら会場自体が水を打ったように静まり返ってしまった。会場を包み込む緊張感もなんつーか異様な感じでした。通常あんなに静かになったりするもんなの?
冒頭からブルーノとガイの(というよりブルーノの)まくし立てるシーンだったのですが、今回マイクを通さない生声*1でにのみやさんの声が物凄くよく通ってた。ガイ役の内田さんの声が若干かすれてるのが気になったんですが、あとから喘息を患われてるって知りまして、そう考えるとホント良く頑張ってらした。最初こそ声が嗄れていたけど終盤にかけてどんどん良くなってました。それに序盤はブルーノが一人まくし立てて話すので人の話を聞かずどんどん自分だけで話を進めてしまう感じがとても出てるような気さえした。舞台ってやっぱ生き物でそれなりのトラブルはあっても回を重ねるたびにそれを乗り越えられる力がつくんだろうな。ちなみにこの序盤の掛け合いでにのみやさん一回セリフとちったんだけどお酒呑んでろれつが廻らなくなってる状況だったのでそれも特に気にはならず。(確か列車内でボーイに注文をするところだったと思います。が、自信ない。)

後半はもう怒涛のような展開で時間をあまり感じなかったです。チャーリーがアルコールに溺れ、ガイの気を引きたいがために完全犯罪という枠を自らどんどん崩していく様は滑稽で非常に哀しかった。唯一の心の支えだった自由奔放な母親に見捨てられ「ママ…ママ…」と回転する舞台のなかで狼狽するチャーリーが可哀想で可哀想でいたたまれなかった。幕が下りた瞬間胸がいっぱいになりました。

カーテンコールは4回。2回目以降はスタンディングオベーション。2度目からにのみやさんが先に登場してあとからカンパニーが続くという感じだったのですが、客席に背を向けてカンパニーの方々が出てくるのをジャケットの襟を正しながら待ってるにのみやさんが照れてる感じがしてニヤニヤしてしまった。ちなみに2度目のカーテンコールの時我慢できなかったであろうお嬢さんが「にのー!」と叫んだのですが、その時はそれで終了。ところが3回目の時にはにのみやさんが出てくるなりさっきのお嬢さんの掛け声が呼び水となったのか会場をつんざく様な黄色い声援が湧き起こりました。ビックリした。みんな我慢してたんか。ずっと声は出さずに「ありがとうございました」と言っていたけど4回目の一番最後には大きな声で「ありがとうございました!」と言ったにのみやさんが超絶男前でした。

それにしても心底観れてよかった!って思わせてくれる素晴らしい舞台でした。演出も舞台装置もとても良かったです。ストーリーも決して楽しい物語ではないけど、後味が悪いと言うのでもない。翻訳劇なのでたまに日本語としての会話だとちょっとおもろい部分もあったけど。観劇してから5日ほど経ちますが、今だ夢をみてるみたいです。思い出しては切なくて胸が苦しくなります。ふと気がつくとチャーリーの事考えてたりします。うっすら涙さえ浮かびます。ひどいもんです。幕が上がって出てきた瞬間からにのみやさんじゃなくてブルーノだったんだよなぁ。たとえ顔が純和風であっても。カーテンコールの3回目ぐらいで照れ笑いしててやっと「あっ!にのみや!」って思ったぐらい。大人になれず*2愛に飢え*3そんな中でガイという理想の人物に出会い、彼に好かれたいがために哀しくも殺人という行為を起こしチャーリーの中に秘められた狂気が加速していく様をみせつけ観客の心を鷲掴んでしまうにのみやさんは本当にすごいと思った。すごいって言葉で片付けたくはないんだけども、でも語彙が少ないから適当な言葉が見つからない。
一度でも観れたくせに贅沢言うなって思われるのを重々承知で言いますけど、出来る事ならもう一度観たかった。もう二度とチャーリーに会えないのかと思うと突如物凄く悲しくなったりする重度の病に侵されています。



おたく的な目線のことを少し。
私今回最前列ではない前列という超良席の左側だったんですけども、意外とはっきりとした顔立ちのにのみやさんでして、ライトの加減でコントラストが強くついちゃって顔はあまし鮮明には見えなかったです。多分舞台みるには4か5列目の真ん中ってのがベストポジションなんじゃなかろうか。おかげで私2、3日首が痛かったです。(見上げてたから)でも前列なのをいい事にブルーノがことあるごとにプカプカふかしてるチェーンスモークの香り(副流炎とも言う)を普段嫌煙家のくせに鼻腔めいっぱい開いてフガフガ嗅いできましたけど。それに陶器のように真っ白な肌が高揚して紅潮していく様や手の振るえとか細かな動きまで堪能できました。
あと、秋吉さんと探偵の人が舞台真ん中で話しているのを物陰でチャーリーが盗み聞きしているシーンは「ごめん!」と思いながらも近くにいる顔から指の先までくるくる表情の変わるチャーリーをガン見してました。あと「あ…こぼしちゃった。」はしろめむいて卒倒しかけました。
それとWSなんかでも話題になってたキスシーンですが、私の席からは秋吉さんとの時はにのみやさんの後頭部のみ、最後のガイとのシーンではにのみやのデコのみしか見えませんでした。超死角!



原作本も迷いつつ観劇前に読み始めたんですが、結構文体が私には読みづらくて「なんとなく話の流れはわかったからいいかー。」って途中でやめちゃったんですけど(行きの新幹線でも読んでた。)どうぜなら最後まで読んでおけばよかったとちょっと後悔。ストーリーが頭に入っている部分は割合感情の変化とかを重点的に見れたんですが、分かってない部分から結構怒涛の展開になりややストーリーを必死に追う感じになってしまったので、知っておけばもっと他の事考えて観れたかも。とか思いました。特に一回こっきりの舞台だったのでね。

しかし、にのみや目当てで観に行ったおまえが言うなよ。って感じですけどやっぱり勿体無い。にのみやさん好きあらし好きな人だけでなくもっと沢山の人に見てもらいたいと思えるような圧倒的な舞台でした。色々難しいのかもしれんがやっぱりDVDで出て欲しいって心から切に願うよ。舞台は生ものだしDVDではその全ては伝わらないだろうけどそれでもその何分の一かは詰め込めると思うんだ。

舞台もあともう少し。最後まで無事に千秋楽を迎えられますように。

あと私信になりますが終演後、胸がいっぱい過ぎて生きる屍状態だった私の骨を拾ってくださった皆様どうもありがとうございました!一人なにも漏らさずホテルでゴロンではあまりにも切ない気持ちになるところでした。お付き合いいただけて本当に嬉しかったです!

*1:私普段舞台を見ないのであまし分からないんですが最近は結構インカムつけてるイメージ

*2:故に子供呼ばわりされる事を極端に嫌がる

*3:親子の関係を越えた母親とでさえ上手く愛情を掴み取れない